インド政府は労働法を改正し、工場を2交代制で24時間稼働可能にしました。Appleと最大のサプライヤーFoxconnによるロビー活動が、この法改正につながったとFinancial Timesが報じています。
工場の24時間操業が可能に
インドではこれまで、1日あたり9時間ごとの2交代制が上限とされていましたが、労働法の改正により、中国などの工場で一般的な12時間ごとの2交代制が可能となりました。これにより、工場を24時間操業させることが可能になり、生産量の大幅な増加が期待されます。
今回の法改正では、1週間の労働時間の上限を48時間、時間外労働を週あたり48時間に制限しているほか、3カ月間での時間外労働の上限を75時間から145時間に引き上げ、女性の夜間労働の規制が緩和されています。
Financial Timesは、この法改正はAppleとFoxconnによるインド政府への熱心なロビー活動によるもの、と報じています。
製造拠点としても市場としても有望視
Appleは、iPhoneなど主要製品の製造拠点が中国に集中するリスクを低減するため、質の高い労働力を確保しやすいインドやベトナムなどに製造拠点を移転させる「脱中国」を進めています。
Appleはすでにインドで最新モデルiPhone14の製造を開始しており、2025年にはiPhoneの25%はインドで製造されるとの予測もあります。
Appleはインドを市場としても重視しており、2023年1月にはインド国内のApple Store開店に向けた求人を開始しています。また、最近ではインド担当の販売責任者アシシュ・チャウダリー氏が昇進しています。
中国では劣悪な労働環境が問題に
インドでの労働法改正により、iPhone製造量が増加すれば、中国とアメリカの政治的緊張の影響を軽減できるなどのメリットが期待できます。
しかし、中国にあるFoxconnやPegatronの工場では、労働者がひどい環境で労働させられていると報じられ、Appleも批判の的となりました。Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は中国で製造現場を視察、中国の労働環境改善に取り組み、進捗状況をレポートとして公開しています。
インドでは、中国で起こったような問題が繰り返されないよう、期待したいところです。
Source:Financial Times via 9to5Mac, AppleInsider
(hato)
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