Google Pixel 3以降やiPhone14シリーズ、Apple Watch Series 8などで利用できる「衝突事故検出」機能(Androidでは「自動車事故検出」)。この機能によって命が救われる事例も多いですが、一方で機能の誤作動による誤発信も少なくなく、消防は万が一の確認のため駆けつける事態が頻発していることがわかりました。
消防関係者は「間違えて発信した際は必ずその後の連絡に応じて欲しい」と呼びかけています。
消防は万が一の確認のため出動、2日に1回以上は”空振り”も
静岡新聞の記事によると、2022年11月上旬、下田消防署(静岡県下田市)に入った119番通報は電話口から応答がなく、通報者に不測の事態が生じた可能性があるとしてGPS機能で逆探知し、消防車と救急車3台、隊員8人が現場に駆けつけました。出動後に通報者が消防からの連絡に応じ、「119番したことに気がつかなかった」と説明したそうです。
下田消防本部では、この事例は、自動車などで激しい衝突事故にあった際にスマホが検出し、緊急通報サービスに自動で連絡する「衝突事故検出」機能が作動したと思われるケースとみており、他地域の消防でも同様の事例が散発しているようです。
同消防本部での119番誤報は、2019年に436件、2020年に277件、2021年に292件発生しており、2日に1回以上は出動が”空振り”している計算になるとのこと。すべてがスマホ関連ではないものの、スマホ誤作動の通報は定期的にあるそうです。
119番通報を受けて応答がなければ、通報者が急病などで声が出せなくなったと想定して逆探知して駆けつけるため、同様の事態が発生している間に”本物”の通報が入った場合、消防が人手不足に陥る可能性もあります。
消防関係者は「本人も通報に気づいていないため対処が難しい。それでもこちらからの電話に間違いだったと言ってくれれば、消防の負担軽減につながる」と述べ、別の消防関係者も「ワンタッチでの誤発信防止の設定なども活用してほしい」と注意喚起しています。
iPhone14、Apple Watch 8などで利用できる「衝突事故検出機能」
衝突事故検出(自動車事故検出)機能は、AndroidスマホではGoogle Pixel 3以降、Apple製品ではiPhone14、iPhone14 Plus、iPhone14 Pro、iPhone14 Pro Max、Apple Watch Series 8、Apple Watch SE(第2世代)、Apple Watch Ultraで利用できます(本稿執筆時点)。
衝突事故検出機能や、iPhone13シリーズ以前の転倒検出機能、緊急SOS機能が事故の早期発見や救命に貢献したケースは数多く報じられています。
2022年9月にYouTuberが、iPhone14と空き地、車両を準備してこの機能が動作するかを試した衝突事故検出実験で、速度がでていないとき、速度を上げたとき、いずれもしっかり検出され、通報画面が表示されていました(実際には通報しないためキャンセル)。
一方で海外メディアが行った衝突実験では、機能がうまく作動しないケースもありました。
ジェットコースター、スキーなどで誤作動事例が報告
iPhone14、Apple Watchにおける衝突事故検出の誤作動事例は、ジェットコースターに乗った、スキーをしていたなどが報告されています。
2022年11月末には衝突事故検出機能の最適化などを含むiOS16.1.2がリリースされましたが、これ以降もスキーでの誤作動が続いており、米国のある911センターでは1日に約15件~20件の自動通報が入ると報じられていました。
衝突事故検出機能の誤作動対策は?
衝突事故検出機能は初期設定でオンになっています。衝突検出時は画面全体に通知が表示され、緊急通報までの20秒のカウントダウンが始まるので、この時にキャンセルすると誤発信は防げます。
衝突検出後の通知とAppleからの自動緊急通報は、設定アプリからオフにすることができます。iPhone14 Proの場合のスクリーンショットでご紹介します。
- 設定アプリを起動し、「緊急SOS」の項目を開きます。
- 「カウントダウンで音を出す」をオン(緑色)にしておくと、緊急通報までのカウントダウン時に警告音が出るため、誤作動した際にも気づきやすいでしょう。また「激しい衝突事故発生後に電話」をオフ(白色)にすると、衝突検出した際に自動で緊急通報されなくなります。
Source:静岡新聞, Apple 衝突事故検出機能について (1), (2), Google 自動車事故検出機能について
(asm)
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